
拠点の統合や事業の見直しで古物商を営む「営業所」を廃止する場合、「営業所を閉じればすべて完了」というわけにはいきません。古物商のルールでは、営業所の廃止においても「事前の届出」が義務付けられているためです。廃止手続きが事前の届出が必要なことをうっかり忘れてしまう事業者様が多いので注意が必要です。
1. 「一部の廃止」か「すべての廃止」か
営業所を廃止する際は、まずご自身の状況が以下のどちらに該当するかを確認する必要があります。
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一部の営業所を閉鎖する場合: 複数の営業所を保有しており、そのうちの一つを閉めるだけであれば「変更届出」の手続きとなります。届出の期限は、廃止する日の3日前(土日祝を除く)までです。
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唯一の営業所を廃止する場合: ほかに営業所がなく、古物営業自体を完全に終了させるのであれば廃業手続きを行うことになります。古物商の世界ではそれは「返納届」という扱い。つまり、許可証そのものを警察署へ返却する義務が生じるのです。届出の期限は、廃止日から10日以内までです。
2. 見落とし厳禁な「帳簿の保管義務」
営業所を廃止したからといって、これまでの取引記録をすぐに破棄していいわけではありません。ここが実務上、最も見落としがちなポイントと言えるでしょう。
古物営業法では、帳簿の保存義務(最終の記載から3年間)が明確に定められています。営業所を閉じた後、その帳簿をどこで責任を持って管理するのか。これをあらかじめ決定しておくことが、後のトラブルを防ぐ鍵となります。
帳簿の保管義務は、自社が盗品を扱っていないことを証明するためにも重要な義務です。自社を守るために帳簿は営業所廃止後も保管してください。
3. ありがちな誤解
全部閉める時だけ届け出ればいい、は間違い
複数あるうちの1店舗のみを閉鎖する場合も、その都度、事前の届出が欠かせません。「店舗数が減るだけだから後でまとめて」という安易な判断は禁物です。
廃止した瞬間に帳簿を捨てていい、ではない
営業実態がなくなった後も、過去の取引記録(帳簿)の保存義務は継続します。万が一、盗品等の流通が疑われた場合には、閉鎖した店舗の帳簿であっても警察の捜査協力の対象になり得ることを認識しておくべきでしょう。
4. 失敗しないための確認ステップ
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許可の継続か返納かを確認:廃止する営業所以外に有効な拠点があるか調べ、手続きの種類(変更届か返納届か)を特定しましょう。
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カレンダーを確認:廃止予定日から逆算し、警察署へ行ける日を確定させましょう。
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帳簿の保管場所を決定:廃止後の取引帳簿を、今後3年間どこで安全に保管し、管理責任者を誰にするか社内で決定しておきましょう。
営業所の廃止や事業の整理は、現場の片付けや告知、スタッフへの対応など、経営者様が最も多忙を極める時期に重なります。しかし、そうした混乱期だからこそ、行政手続きのわずかな遅れが後々のコンプライアンス上の火種になりかねません。









